美容つれづれ随想[師弟対話]

サロン現場でのリアルな問題解決を紹介

店販の極意

(ある地域に5店舗23人の店長、スタッフで運営しているJ美容室がありました。恒例の夏のヘアケアキャンペーン45日間真っ盛り、この店のキャンペーンのシステムは4人グループ制で個人とグループの目標がありました、その中のK店長率いるAグループに入店9ヶ月、20歳のMちゃんがいました、Mちゃんは当時インターンです、新人ということで、目標はダメ元の10万円です。今日も店長Kさんが60代のお客様で某化粧品メーカーの会長の奥様Sさんの髪を施術していたところに、ヘルプのMちゃんがお客様のSさんに話しかけます)

インターンMちゃん:「お客様、おはようございます、少し当店のへアケア製品のお話をしてよろしいですか?」

お客様Sさん:「いいわよ、、な~に?」

店長Kさんの心のゆぶやき:(バカ!、この方は某化粧品メーカー会長の奥様だよ!当店のヘアケア製品の話をしたら御気分を害するでしょう!、やめなさい!)

Mちゃん:(K店長の心なんか全然分からず)『ありがとうございます、実は今朝もミーティングでオーナーから「うちで20年前から取り組んでるこのN製品で日本で一番、お客様の髪を美しくする店、、と言われる店になりたいんだ」という話があったんです。』

Sさん:「日本で一番、、とはすごいわね、オーナーさんが、ましてや、20年間言い続けてるなんて、、ますます、すごいわね」

K店長の心のつぶやき:(あれ!?意外な展開、、オーナーの話は私も耳にタコができるほどいつも聞いてるけど日本一、、なんて、、冗談半分だし、、)

Sさん:「オーナーの言うことそのまま来店客に伝えよう、、とするあなたも若いのに偉いわね~」

K店長の心のつぶやき:(あれ~、変な展開になってきたな~)

Sさん:「ところで、オーナーさんの言ってるヘアケア製品ってどれなの?」

(Sさんの椅子の前に展示してあったので、、それを指さしながら、、)

M:「これです、とくにこのスキャルプローションは、髪の根元2センチを立ち上がらせますので、ヘアデザインにボリューム感がすごいですよ!」

Sさん:「へ~ほんと、私も年取るごとにトップあたりがぺシャンとしてきてね、、うちの製品ずっと使ってるんだけど、、いや~何でもないわ、、独り言、独り言、、」

(Sさんがが勧められたローションをジックリ見ながら)

Sさん:「ところで、この中に何が入ってるの?」

K店長の心のつぶやき:(ああ、これでジ、エンドだ、だってMちゃんローションの内容成分なんて知らないし、、よかった!これで私のハラハラも終わる)

M:(待ってました、、とばかりにニコニコしながら、、)「さっきお話した日本一綺麗な髪にしたい、、というオーナーの心がいっぱい入ってるんです!」

K店長の心のつぶやき:(うわ~参ったな、すごいこと言うな~、この店で何十年になる私には逆立ちしても出てこないセリフだな~)

Sさん:「すごい!あなたって本当に可愛いわね~、、うちの会社にもそんなことを言ってくれる社員が欲しいわね~、分かったわ、帰りに1セット頂いていくわ、」

K店長:(思わぬ結果にビックリしながら)「Mさん、良かったわね~Sさん、ありがとうございます!この子、新人で今回のキャンペーンが初めてで、目標持って頑張ってるんです、」

Sさん:「えっ!新人なのに、もう目標あるの、、、じゃあ2セット買ってあげるわ」

Mさん:「えーっ!本当ですか?ありがとうございます、ますます、頑張ります!髪が必ず良くなりますので、、、」

K店長の心のつぶやき:(すごいな~、店販は自分の力量と商品の知識量、、と思ってたけど、、、Mちゃんの店販は両方とも無くて、ただただオーナーの思いを直球で伝えただけなのに、、でもそのことが、最強の店販なのかな、、、ショック!)

(こんな調子でキャンペーンも30日も過ぎた頃、K店長のフォローもありMさんの実績は、目標をはるかに超えて数字は40万円を少し越えてました,この頃MさんはK店長と相談して目標を60万円にしていました、ある日MさんはK店長に、、、)

Mさん:「店長、毎日お客様がこんなに、買っていただいて、、、感謝しかありません、明日、休日なんですけど、最初に買っていただいたSさんが、あの時、いつでも、遊びにいらっしゃい、、と言ってくれましたし、その後商品の使い心地がどうなのか、気になるんで、ご挨拶に伺ったら駄目でしょうか?」

K店長:「うーん、普通はお客様のご自宅に伺うのは、非常識なんだけど、でも、あの時Sさんは真剣に、遊びにいらっしゃい、、と言ってたから、、、前もって電話なんかすると返って気を使わせては申し訳ないんで、、、いいんじゃない、その代わりおうちにいらっしゃっても玄関口でのご挨拶程度にね」

Mさん:「分かりました!」

(休日、Sさん宅玄関、Sさんご在宅)

Sさん:「あら!あの時の新人さん、、、よく来てくれたわね、、、」

Mさん:「先日は、ご来店ありがとうございました、いつでも、遊びにいらっしゃい、、って言って下さいましたので、お言葉に甘えて、ご挨拶だけでも、、とお留守覚悟で伺いました、、、その後商品の使い心地はいかがですか?」

Sさん:「私、何十年て、天頂部の髪がペシャンコで悩んでたのが、使い出して一週間目位からブローするとウソみたいにボリュームが出てきて、ビックリしっちゃて、、ただ泡がたたないシャンプー、、と聞いてたけど本当ね~、、でも使うごとにキメ細かい泡が出てきてるけどね、、」

Mさん:「ああ、それでいいんです、お使いただいている方は、皆さんその過程で改善してますから、、よかった!、、それだけが心配で、伺わせていただきました、店長から長居をしちゃいけない、、と言われてますのでこれで失礼いたします、またのご来店をお待ちしてます」

Sさん:「いいのよ、、、そんなにあわてなくても、、ところで、あの時目標がある、、って言ってたけど達成したの?」

Mさん:「最初の目標は、お蔭様で達成できましたけど、店長と相談して、目標を6倍

にして今、40万円を少し越えたとこです」

Sさん:「まあ、偉いわね~、普通の社員は目標上げられただけで不満を言うのに、6倍の目標になって、、、それをまた素直に頑張ろう、、としているなんて、、、ちょっと中に入んなさい、ちょうど、6人の友達が来ていてティーパーティやってるとこなの、、私がこのシャンプー紹介してあげるから、、、」(Mさんをみんなに紹介しながら)「私が前からお世話になってる美容室の新人さんでMさんていうの、この子にに勧められてシャンプー使ってるんだけど、、、」、、、(と言いながら結局全員買ってくれることに、、、)

Mさん:「皆さん、本当にありがとうございます、日本一綺麗な髪にしてあげたい、

、、、といつも言ってるオーナーがどれほど喜んでくれるか、、、と思うと涙が出るくらい嬉しいです」

Sさん:「ほら、さっき言ったように、また、彼女の口からオーナーが出てきたでしょう、こんな社員を持ってるオーナーさんて幸せよね~皆さんも買ったシャンプー使うだけじゃなくて、店にも行ってあげて、、」

(結局この時だけで6万円売れてキャンペーン期間で65万円の結果でした、その後、奇妙な現象が起きました、若い新規の女性客が次々と来店されるのです、そして来られるお客様一人一人が「あの~Mさんてどの方ですか?」って聞くもんですから、「何かあったんですか?」って聞いたら「わが社の社長が朝のミーティングのときに、、、うちの家内がJ美容室に素晴らしいMさんという新人スタッフがいる、髪を切るなら勉強がてら是非その店で切ってMさんにも合ってらっしゃい、、、と言われまして、来ました」)

※師弟、、、という言葉はこの時代、死語になりそうですが、実は世間に打って出る時の最大最強のパワーを持っていると思いませんか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

中学生の息子が教師に殴られた事件

(ある時O社長を訪ねてJオーナーが来られました)

Jオーナー:『社長、実は昨日、うちの息子が、家へ帰って来るなり、ゴロッと倒れて吐いたんで「どうした!どうした!」と聞いたら息子が「学校で担任教師に、頭を殴られた、それからちょっと、クラクラしてるんだ、、、」と言うんです。それですぐ、担任に電話をしたら,教師いわく「J君が授業中、騒ぎ出し注意したんですが言うことを聞かなくて、つい、手を出してしまいました、ちゃんと事後対応しようとしたんですが、J君が帰ってしまい、校長先生に今報告していたところです、よろしかったら今からでも事情説明に伺いたいんですが、、、」と言うんで、冗談じゃないよ!人の息子を殴っておいて、それも倒れるて吐くくらいに、、このままマスコミに暴力教師とでも流してやろうか、、、と思いましたが、待て待て、、、こんな時こそ感情に走らず、まず、社長に相談に相談してから、、と伺いました』

O社長:「そりゃ~大変でしたね~、息子さんの容態はその後いかがですか?別に変な兆候はないんですか、、そりゃひとまずは良かった、、、可愛い息子さんのことですからマスコミにでも流して担任教師をこらしめてやろうか、、という気持ちは私も人の親としてよく分かります、、ところで、その先生は年齢はお幾つなんですか?28歳!、、オーナー、28歳っていうと大学卒業して5、6年、うちの会社にもたくさんいますけど、まだまだ社会のことなんか全然分かんない子供ですよ。我々の時代の教師というイメージは立派な人間性を想像しますけど、、、だから思い通りにならない生徒につい、感情に振り回されて手がでてしまったんじゃないでしょうか、ただ、いくら感情的といっても教師の手が出た、、というのは息子さんの方にも何か少しはあった気もするんですが、、」

Jオーナー:「そう言えばうちん中でも、女房と息子がやり合う時息子が時々きれることがありますね、、」

O社長:『オーナー、考えてみれば、その教師にも両親がいて、大学まで出して、ようやく教師になったのに、マスコミに、、暴力教師となり学校を退職させられ、、これがキッカケとなって人生がうまく回らずオーナーと同じ年代になる頃、どこかの屋台あたりで「俺ゃ、世が世であれば学校の先生だったのに、何十年前、ある生徒の親にマスコミにチクられて、このザマよ、、」、なんて余り気分のいいもんじゃないですね、また息子さんも記事になったら、学校に行きたくなくなるんじゃないですか?』

Jオーナー:「社長、どうしたらいいでしょうか?」

O社長:「聞かれたから言いますけど、私がオーナーだったら、明日の校長と担任の面談では、息子の脳波検診結果の病院代金はお願いして、その上で、担任のあなたとご両親の思いを考えると、この事を、おおやけにするつもりはありません、またうちの息子にも原因があるようだし、、どうかこの経験を糧にしていい先生になって下さい、、、と伝えますね」

Jオーナー:「分かりました、スッキリしました、明日その通りにやってきます」

(翌日夜Jオーナーより電話あり)

Jオーナー:『いやー社長ありがとうございました!昨日言われた通り校長と担任に伝えました、担任は涙ながらに床に手をついて頭を下げ「本当にこの度は申し訳ありませんでした、私の両親の思いにまで配慮くださり、感謝の言葉も見つかりません、今回の経験を生涯忘れず、必ず必ずいい先生になることを誓います」ということになりました。帰りの道すがら、自分の心の中に何とも言えない爽やかさに満たされて、、、社長に相談しないで、担任をやっつけてやろう、、、という自分のやり方をやってたら「ざま~見ろ」とはなっても、回りは犠牲者ばかりで、だんだんいや~な気分になってたろうな~と思いました、社長本当にありがとうございました』

O社長:「よかったですね~息子さん、奥様にも、そのまま伝えてあげてください、心配してると思いますから、、、」

 

 

店長、スタッフの育成

熊本県の、ある美容室Kオーナー(60代)と,店長二人A、B(40代)が社長Oのもとへ上京してきました〕

  • Kオーナー:「社長、聞いてください、私も店を始めて出したのは40年前になります。最初は15坪、その後、26坪、40坪、30坪、と4店舗になりましたが、時代の流れと共に、15坪と40坪の店を閉店しました。あのころは、勢いもあったし、時代も良かったから売り上げも順調だったけど、ここんとこ、売り上げも、客数も減少して参っちゃう、このままだと、また1店舗つぶさなきゃならないと思うんです、店長達にもハッパかけるんですけど(横に座ってる店長たちを見ながら、、)全然責任感なくて、、それで今日社長に意見してもらおう、、と一緒にお邪魔しました」

O社長:「いやー、わざわざ九州から3人で、お疲れさんでした、2店舗目の26坪を出店してから4ヶ月くらいの時でしたよね、、先生とお付き合いが始まったのは、、」

(ここで、しばし当時のお付き合いに至る話で盛り上がる)

Kオーナー:「社長、私が修行時代、店長やってたころは、オーナーよりも早く出勤して、当然一番最後まで店で働いていたもんですよ、それが今じゃ(と言いながら店長たちを見る)

O社長:「まあまあ先生、、そう興奮しないで、、、う~ん、そうだな~、、感情の行き違いは別として、大事なことは、客と売り上げが増加することなんですよね、、、本当は1店舗撤退するとお聞きしたあたりからオーナーに伝えたい事があったんですが、一国一城のあるじに対して聞かれもしないのに言ったら余計なお世話、、と叱られますから、、でも今日は聞かれましたので、、、分かりました!じゃ今日はオーナーと店長さん二人もの方が飛行機代と貴重の時間を使ってわざわざ来てくだっさったんですから、本当のことを言いますね、かなり、厳しい話になりますがよろしいですね(オーナーは、スタッフに意見してくれるものと、待ってました、、とばかりの顔)」

「先生、最初の店オープン前日の40年前を思い出してください、、、スタッフ3人を抱えて、明日お客さん来てくれるかしら?、もし来てくれなかったらどうしょう、、借金あるし、スタッフの給料もあるし、、思うだけで胃袋からあげそうになったあの時、、、そこらじゅうに向かって手を合わせて「なんとか繁盛しますように、、」と祈らずにはいられなかったあの時、、、人間思うにあの時が一番謙虚で真剣で人間らしかったんじゃないでしょうか。スタッフのやる気がどうの、態度がどうの、、そんな事考える暇もなかった、ただただオーナー自ら店を何とかしなくちゃ!、、とひたすら前だけを向いて戦いを挑んだ日々、、

それが、店が増えるごとに、そこそこの売り上げと、そこそこの来客数と、そこそこの

展開をする内に、オーナーに時間と余裕が出来てきたあたりから、今まで前ばかり向いて戦ってたオーナーがクルリと後ろから着いてきたスタッフ達に向かい「あなた方、聞きなさいよ、美容師とは、、ファッションとは、、人生とは、、」と言う説教が始まりだすんですよね(これを聞いてた店長たちがクスクス笑う)

Kオーナー:(店長たちに向かって)「あんたがた、なに、笑ってんの!」

O社長:「いや~先生、これは人間みな同じで私自身にも言ってるんです。店長スタッフに向かって「今月の売り上げは、どうなってんの!、、」とハッパをかけてる経営者を見かけますけど、店長スタッフはお客が来ないことには売り上げを上げようがないですよね、私はお客を連れてくるのはオーナーの仕事、但し一度来店されたお客を何度も来店してもらうようにするのはのは店長スタッフの仕事、、、と、分けて思っています」

Kオーナー:「でも社長、せっかく来てくれてるお客様を嫌な気分にさせて、来なくならせたスタッフもたくさんいるんですよ!」

O社長:「ハッハッハッ、、うちにもいっぱいいますよ、この横で聞いてるうちの営業のMなんかどれだけお客さんをつぶしたか(Mは横でちっちゃくなってる)、Mを1人育てるのにどれだけのお客さんを犠牲にしたか、、それこそお客さんの屍、累累ですよ(Mは益々ちっちゃく、、)

それでもオーナーは一歩も引けないのが宿命なんです、昔は予算のこともあってオーナー自らチラシをまいてましたよね、でも今は体力がないんですから、折り込み、プロのポスティング屋、など自分の美容室の営業マン変わりを雇って外に打って出ることです、、私が言いたいのはひとたび店をオープンして旗を上げたからには生涯外に打って出る覚悟がないと、店は持続しない、、と言う厳然たる道理です。その幾つになっても、ひたすら前を向いて戦うオーナーの背中を見て店長スタッフは奮い立つんであって店長スタッフに向かって説教するオーナーには余り魅力は感じないはずですよ(店長たちに向かって)、ちがうかな?(店長たちがドギマギ、、オーナーは目にウッスラ涙を浮かべながら)

Kオーナー:「社長、よくぞ言って下さいました、もし社長でなかったら、カチっと切れて私は途中で席をけってこの部屋を飛び出したでしょう、でも、本気で私の事を思ってくれてることが分かります!社長の真心が私を数十年前の原点に戻してくれました、いや~滝に打たれたような爽やかな心境です、そうです、そうです、あのころ、スタッフに向かってしゃべってる時間なんてなかった、来るお客さんに必死で接客して、気がついたら夜でした、、あ~スッキリした、あんた達、何か社長に聞きたいことある?、、ない!じゃ帰ろう帰ろう!

社長失礼しま~す」

(二日後、店長Aさんから私Mに電話がありました)

店長A:「Mさん、先日はありがとうございました、いつもオーナーはどこかへ研修に行ったら翌日は必ず報告ミーティングをやるんですが今回はないんでオーナーに「ミーティングしないんですか」って聞いたら「いいの、いいの、大丈夫、大丈夫、、」言ううもんですから、、、それで私はB店長に「ねえ、Bちゃん、このままじゃ、オーナーだけが社長さんから怒られて、私たちは無傷って何か違うんじゃないかしら、、」と話したらBさんも「そうよね、どう?オーナーに話して私たちだけでミーティングさせてもらおうよ」ということになり翌日2店舗合同緊急ミーティングになりました。

A店長:「2日前、先生と3人でO社長を訪問して、、かくかくしかじかで結局叱られたのは私たちじゃなくてオーナーだったの、、、(これを後でO社長に報告したら、俺は叱ってなんかないよ、、)そりゃホッとしたけど、目の前でオーナーがうっすら涙を浮かべる姿を見たとき、さすがに私は反省したの、B店長もおなじ心境だったって言うのよ

今回のキャンペーンもう、2週間過ぎたけど、目標を倍にしてオーナーの面目とO社長の鼻を明かしてやりたいんだけど、、どうかな、、って言うか私はもう決めてるんだけど、、、やろう!やろう!」ということになりましたのでO社長によろしくお伝えください」

(そのままO社長に報告したら、、社長はニコニコしながら、、そうかそうか!の一言。それから一週間後KオーナーからMに電話がありました)

Kオーナー:「Mさん、いま、店が大変なことになってまして、、売り上げグラフが上に突き抜けてまして、、、一週間前にAとBが私たちだけでミーティングをやらしてくれ、、と言うんで、、いいわよ、、とは言いましたが、、、みんな、なんだか張り切っちゃって、、、ともかく社長さんに、よろしくお伝えください」

(これも、そのまま報告したら社長はニコニコしながら、、そうかそうか!、、それから45日後店長A、Bさんから目標達成!115%、、、社長文句あるか!うちのオーナーは日本一!、、社長、ぜひうちの店に来てスタッフ全員と合ってください、待ってま~す。)

(その後KオーナーからもO社長に電話がありました)

Kオーナー:「社長、おかげさまで、自分が今どこにいるのかを教えてもらったこの二ヶ月でした。自分の周りに起こる事は、良かろうと悪かろうと全部自分というフィルムに光を通して世間というスクリーンに映し出されているんだから、それを良くしたかったら自分というフィルムにある像を良くすることが最も近道なんだけど、、、と社長が教えてくれたことを少しだけ分かりました、またすぐ分からなくなるとおもいますんで、その時はまた東京に行きますのでよろしくお願いします」

O社長:「先生、どっちが教えて、どっちが習う、、なんてありませんよ。ただ、何か問題が起こった時、人はおうおうにして、その問題の方に意識を取られますが、その原因の本質は、実は自分の心の中にあるもんです、でも、こう思えるのは中々出来ません、でも東京での懇談の時、先生が涙ぐまれたのを見て、先生の意識が自分に向かわれたな、、と思いました。みんな生身の人間です、私が落ち込んだときは、先生に私を是非ネジ巻いてやってください、お願いします。店長、スタッフの皆さんにくれぐれもよろしく」

 

 

 

 

 

スタッフが怖い人の車と事故ってしまった。③

怖い人Y:「ところで、あんたらは保険で対応したいって言うけど、それでおしまいじゃ子供の使いと同じじゃないか、ここからは事故を起こした当人のこっちのお兄さんとの話になるんだけど、あんたは、そのへん、どうするつもり?」

M:「こんな突発事故のために、私どもみたいな弱小事業も高い料金を払って事故保険に入っています、なんとかその辺をご理解頂いて、保険で対応させていただきたいんですが、、、」

怖い人Y:「それじゃ話になんないよ、お兄さん、あんたが事故を起こした本人なんだから、黙ってないで何とか言ったらどう?保険対応の他に慰謝料的な何かとかさ、、貯金、親、親戚、とかいろいろ、出来ることあんじゃない?」

M:「本当に申し訳ないんですが、彼は売り上げ成績も悪くて、給料も低くて、生活もギリギリなもんで蓄えもないらしく、、、」

怖い人Y:「あんたに聞いてんじゃねえよ!じゃこんな手はどうだい、、、」

(こんなやり取りが延々と4時間くらいつづく)

怖い人Y:「ったく、、話にならねえな、これじゃ!結局あんたらどうするっていうんだ」

M:「ですから、最初に申し上げましたように、保険対応で何とかお願いしたいと、、、」

怖い人:「、、、、しょうもねい、3人の大のおとなが、病院まで入院してこれかよ!貧乏くじに当たったようなもんだな、じゃ、保険でそうしろ!但し俺達は首が痛いんで、あと2、3日は入院してユックリするからな」

M:「分かりました、本当に、この度はご迷惑をおかけ致しました、保険会社に連絡してすぐ手続きするように伝えておきますので、、、失礼いたします」

(終わったのが19時30分、13時から6時間30分の長い長い対応、疲れました、、すぐ近くに待機させていた保険会社担当に連絡、、、担当者いわく「Mさんの場合はいつもトラブった時は初動で必ず、相手が怖い人だろうと何だろうと、直接、会って、挨拶してくれるから交渉がスムースにいくんです、しかし他の人達、会社は、保険内容が示談交渉付きなもんですから、相手に会う初回から、当人、当社が出てこないで保険会社に対応させるもんですから、相手が心象を悪くして、結局賠償金などが高くなり、それからの保険料が高くなってしまうんです、本当に助かります)

M独白:『トラブルはいつも嫌なものだが、対処しようとする時の自分の腹の置き方は、「怖いくせに、その怖さを無理やりに抑えようとして虚勢を張って見くびると相手はその態度に敏感に反応して、怒りを誘う、、、逆に怖さにおののき、法外の要求に対応させられる、、、のも違う、怖いものは怖いと認めてその上で必死の誠意で、利害関係のない第三者がこちらに下す道理の責任範囲については、ちゃんと負おう、、、という覚悟が大切なことだ」と思索を巡らせていたらマナーモードにしていたスマホに息子から届いた何十回ものメールに気がつく、、、「父ちゃん大丈夫?」』

 

スタッフが怖い人の車と事故ってしまった。②

M:「スタッフAから事故の件は報告をうけています、この度は不快の思いをかけ、申し訳ありませんでした。スタッフ本人と、お話したい、、ということですがどうしたらよろしいでしょうか?」

Y:「それじゃ、うちの事務所に明日13時でどうだ」

※保険会社とスタッフAとの3者打ち合わせ、相手事務所の確認

(翌日13時、事務所近くの交番に事情を話して、万が一の体勢をとる、後スタッフAと2人で事務所前、インターフォンを2、3度押すが、誰も出てこない、)

スタッフA:「オーナー、留守みたいですから、お詫びで買ってきたウイスキー、シーバスに書置きして帰りましょうよ」

M:『お前は怖くて早く帰りたいんだろうけど、こんな不安を抱え続けるのは嫌だ、今日中に明確にする、、と腹を決めてきたんだ、昨夜、高校の息子を呼んで「明日、スタッフの事故のことで怖い事務所に行って来る、俺も怖いけど、責任者の立場だから行きゃなきゃならないんだ、お前も、もう高校生なんだから、俺に何かあったときは、お前が家族を守るんだぞ、、まあ、そんな大げさなことにはならないから心配しなくていいけど一応言っておく、こんな機会はめったにないからな」と言ったら、日頃は飛んでる息子がえらく神妙に聞いてたよ、、、だからもう少し待ってみょう』

(1時間位事務所回りをウロウロしていたら携帯に相手からの電話が入る)

Y:「おう、Mさんかね、俺たち今、N病院に入院してるんだ、悪いけどここまで来てくんないかな」

(40分くらいでN病院へ駆けつける、ナースセンターに相手の病室を尋ねたら事務員いわく「昨夜、3人で、12時頃、夜遅く救急で駆けつけ、レントゲン撮って診たんですけど、異常は認められないんですけど、3人とも、痛い!痛い!、、入院させろ、、、と訴えるんで入院してます。4階の病室ですが早く対応した方がいいと思いますよ、と言われ、すぐ、病室に行きましたが、ベッドにマンガ本が散乱していて3人はいません、再びナースセンターに戻り、病室にいない旨を告げ、事務員とやりとりしてると、奥の方から首にコルセットをした3人が車イスでこちらに向かって来るのが見えました

(3人の方に向かって)

M:「昨日、うちのスタッフがご迷惑を、おかけした方でしょうか?私責任者のMと申します。この度はご不快な思いをさせて本当に申し訳ありません」

Y:「まあ、ここじゃなんだから、病室へ行こうや、」

(エレベーターで4階へ上がり、病室へ向かう途中にある喫茶所に十数人のスキンヘッドやパンチパーマの人々がいる、そこを通り過ぎて6人部屋の病室に入ると、同部屋の患者さんがサーっと出て行く、部屋で3分くらい話した後、先ほどの喫茶所に移動して数十人の怖い人々に囲まれていよいよ対談本番)

Y:「ここにいる連中は、この辺を走りまくっている舎弟だ」

(つづく)

スタッフが怖い人の車と事故ってしまった。①

(ある時M美容室オーナーにスタッフAから電話がありました)

スタッフA:『先生!今、高速道路入り口で私の前に、急に黒塗りベンツが割り込んできたんで、急ブレーキをかけたんですけど間に合わなくて、うしろから軽い追突をしてしまいました。「事故ったときは必ず警察に来てもらって、事故調書を取っておかないと、いくら保険に入ってても保険会社が入りようがないぞ」って、いつも先生から言われてたんで、そうしようとしたんですが、黒塗りの車から、黒服3人が出てきて「警察を呼んでる暇なんかあるか!俺たちは、これから親分を迎えに急いでいるんだ、名紙よこせ!」って言うもんですから、渡しますとパーって行ってしまいました。名紙には美容室情報があるんで、どうしたらいいでしょうか?」

M:「どうしょうって、どうしょうもないよ、参ったな~、、、相手の出方を待つしかないよ、相手がいなくても警察には来てもらって、単独でも調書は取っといておけよ、高速の入り口なんだから、道路管理センターの係員が目撃してると思うんで、その人たちにも証人になってもらうことだ。ともかく、悪いことは重なるっていうから、気を付けて帰って来い」

(それから4時間後、M美容室に電話あり)

 怖い人Y:「あんたが責任者かい?当人から聞いてると思うけど、3人皆が首が痛い、、っていってるんだけど、どうしたもんかね~?事故保険で賠償、、ってことは当然のことなんだけど、そうじゃなくて当人と直接話をしたいんだけど、、どうかね?」

 (つづく)

 

 

 

美容室へのクレームやタカリ対応②

O社長:「そりゃ大変でしたね、ここんところ、こんな相談が多いんですよ。オレオレ

詐欺グループが取り締まりが厳しくなって、美容界ならリスクも少なく50万円くらいは、クレームをつければ、すぐ払ってくれる、、ということらしいんです。ただ、パーマ、カラーは美容保険で対応出来るけど、カットによる髪の長い短いは主観なんで保険の対象外なんで、タカリクレーマーの狙い目らしいです。ただ今回の件の真意はまだハッキリしませんのでアフターフォローをさせてください、、と言いながら時間を稼ぎませんか」

P:「そうします」

(2週間後)

P:『O社長、あれから2回ほど女性客に来店してもらい、フォローさせてもらったんですが昨日、男性も一緒に来店され、「あんた、いつまでダラダラやってんだよ!早く彼女をスッキリさせろよ!」と言うんで,P:「どうしたらご気分を治して頂けるんでしょうか?」男性:「そんなことは俺から言う話じゃないよ!あんたから、、こうさせてください、、という話じゃないか!」、P:「困りましたね、じゃ、どうでしょう、私には何かあった時いつも相談する方がいますので、その方に相談した上で、対応させてもらいます」、男性:「へー面白いこと言うんじゃない、弁護士かい?面倒くさいなーあんた、80万くらい何とかなんないのかよ!またくるわ」って捨てゼリフを言って二人が帰りました、、がどうしたらいいでしょうか?』

O社長:「お疲れさまでした、先生、これでクレームかタカリかがハッキリしましたね。こんな嫌な気分になるんだったら、半分の40万でも払って、、、と思うでしょうが、そうすると先生の店の情報が彼らのグループに回り、手を変え品を変え狙われるんでハッキリと決着をつけましょう。ところで、先生、弁護士のつてはありますか?、、、ありませんか、うちの弁護士に頼むのは簡単ですが、静岡で遠いし、社会というものに強くなるためにも、勉強がてら、自分で探してみてください」

(1週間後)

P:「社長、弁護士を2人当たりましたけど、着手金だけでこんなに高いの!とか、、こんなしょんべん事件遠慮しますんで他を当たってくれ、、とか冷たいもんですね、、」

O社長:「そうですか、弁護士さん全部がそうとは言えませんけどね。困りましたね~、、、先生ダメもとで聞きますけど、青年商工会などに入ってませんか?、、入ってますか!そりゃ良かった!商工会で顧問弁護士を雇っている筈ですから、いつも会費を払っているんですから相談権利はある筈です。商工会を通して相談してみてください」

(3日後)

P:『社長、商工会で顧問弁護士がいましたので、行って来ました。着手金も、目茶安いし親切だし、、ただ、すごい行動派で、、、弁護士:「こりゃタカリだから即告訴しましょう!」っ言うんです。ただ,今まで社長に言えなかったことがあるんです、実は女性客をカットしたスタッフは美容免許を持ってないんです。どうしたもんでしょうか?』

O社長:「えー!参ったな~、、、でも、しょうがないじゃないですか、とりあえずは、その事は弁護士さんには伏せといて行きましょう、、」

 P:「分かりました、じゃ、すぐ弁護士さんに手を打ちます」

(約3週間後)

P:『社長、弁護士さんから「相手も告訴を受理する、、という事なんで、裁判所に提出する書類がありますんで、書類をそちらに送りますんで、それに記入して送り返して下さい」と送ってきた書類の中にスタッフの美容免許取得年月日記入欄と承認申請書があるんですが、どうしたもんでしょうか?』

O社長:『ああ、やはり、そうきましたか。しょうがないですね、じゃ先生弁護士さんに「すいません、スタッフが無免許だった事を私も知らなくて書類記入の時に始めて知ったんですが、、」とか言いながら正直に話しましょうか、先生、心配しないでいいですよ、弁護士さんは、依頼人の利益を最優先に考えてくれる立場ですから、、、嫌だったら違う弁護士さんに頼めばいいんですから、、でも、頭を下げながらやって下さいね』

 (翌日)

P:『社長弁護士さんに無免許の件話しましたら「え~!早く言ってくれよ、これじゃ負けちゃうよ!、、う~ん、分かった、じゃ、しょうがないや、裁判時は証人としては、あなただけでいいや、」ということになりました』

(それから一月後)

P:「昨日裁判が終わったんですが相手が出席しないんです、欠席裁判ということで、一ヶ月以内に相手が異議申し立てがなければ勝訴、、ということだそうです、ところで、無免許のスタッフは辞めてもらったほうがいいでしょうか?」

O社長『裁判としては、これで終わりでしょう、相手はこんなにてこづるとは、、と面倒くさくて止めた、、です。スタッフのことですが、入社面接時に分かっていて、採用したのは先生なんだから、そりゃ、ないんじゃないですか、免許持ってることと、技術、接客のうまい、下手は別問題というのも現実ですね

スタッフには、「こんなクレーム時代だからリスクを抱えて美容師続けるのもいやだろう?、、お前はうまいんだから、通信教育もあるんだし、行かせてあげるから、、」と励まして、合格の折は給料上げてあげるとか、希望を持たせて頑張ってもらったらどうですか?』

(その夜)

P:『社長!ありがとうございました、弁護士料も嘘みたいに安かったです。社長の言われた通り話したら、スタッフが涙ぐみながら「先生、この度は迷惑をかけてすいませんでした、トラぶった時、これで前の店同様クビだと覚悟してました、でもここまで守ってくれて、その上免許のことまで心配してくれて、、俺頑張って必ず恩返しします」って言ってくれました、社長のお陰です』

社長『そりゃ、違いますよ、先生が店を守る為、タカリと戦うのに必死だったからですよ。私も、いろんなオーナーからいろんな相談を受けますが、中でも一番多いのが「社長、いいスタッフいませんかね、、」という相談です、気持ちは分かりますが、いいスタッフがいたとしても、いち早く他の店に採用されているか、、自分で店を出してるか、、採用出来たとしても、いち早く自店の近くに出店されるとか、、、いいスタッフはいる、、もんじゃなくて、創るしかないんじゃないですかね。今回の件はスタッフ教育のつもりなんか、先生には全然なかったでしょうけど、店を守る為に必死に戦っていたら、気がついたらそんな事になっていた、、、つまりスタッフに向かって能書きを言うんじゃなくて、オーナーが外に向かって必死に戦う背中を見てスタッフが何かを感じたんじゃないですか、、それでも何にも感じないスタッフが多い中で、先生はラッキーかもしれませんよ。何故なら先生もスタッフ時代を振り返ってみて如何がです?、、、いや失礼しました!』