美容つれづれ随想[師弟対話]

サロン現場でのリアルな問題解決を紹介

美容室へのクレームやタカリ対応②

O社長:「そりゃ大変でしたね、ここんところ、こんな相談が多いんですよ。オレオレ

詐欺グループが取り締まりが厳しくなって、美容界ならリスクも少なく50万円くらいは、クレームをつければ、すぐ払ってくれる、、ということらしいんです。ただ、パーマ、カラーは美容保険で対応出来るけど、カットによる髪の長い短いは主観なんで保険の対象外なんで、タカリクレーマーの狙い目らしいです。ただ今回の件の真意はまだハッキリしませんのでアフターフォローをさせてください、、と言いながら時間を稼ぎませんか」

P:「そうします」

(2週間後)

P:『O社長、あれから2回ほど女性客に来店してもらい、フォローさせてもらったんですが昨日、男性も一緒に来店され、「あんた、いつまでダラダラやってんだよ!早く彼女をスッキリさせろよ!」と言うんで,P:「どうしたらご気分を治して頂けるんでしょうか?」男性:「そんなことは俺から言う話じゃないよ!あんたから、、こうさせてください、、という話じゃないか!」、P:「困りましたね、じゃ、どうでしょう、私には何かあった時いつも相談する方がいますので、その方に相談した上で、対応させてもらいます」、男性:「へー面白いこと言うんじゃない、弁護士かい?面倒くさいなーあんた、80万くらい何とかなんないのかよ!またくるわ」って捨てゼリフを言って二人が帰りました、、がどうしたらいいでしょうか?』

O社長:「お疲れさまでした、先生、これでクレームかタカリかがハッキリしましたね。こんな嫌な気分になるんだったら、半分の40万でも払って、、、と思うでしょうが、そうすると先生の店の情報が彼らのグループに回り、手を変え品を変え狙われるんでハッキリと決着をつけましょう。ところで、先生、弁護士のつてはありますか?、、、ありませんか、うちの弁護士に頼むのは簡単ですが、静岡で遠いし、社会というものに強くなるためにも、勉強がてら、自分で探してみてください」

(1週間後)

P:「社長、弁護士を2人当たりましたけど、着手金だけでこんなに高いの!とか、、こんなしょんべん事件遠慮しますんで他を当たってくれ、、とか冷たいもんですね、、」

O社長:「そうですか、弁護士さん全部がそうとは言えませんけどね。困りましたね~、、、先生ダメもとで聞きますけど、青年商工会などに入ってませんか?、、入ってますか!そりゃ良かった!商工会で顧問弁護士を雇っている筈ですから、いつも会費を払っているんですから相談権利はある筈です。商工会を通して相談してみてください」

(3日後)

P:『社長、商工会で顧問弁護士がいましたので、行って来ました。着手金も、目茶安いし親切だし、、ただ、すごい行動派で、、、弁護士:「こりゃタカリだから即告訴しましょう!」っ言うんです。ただ,今まで社長に言えなかったことがあるんです、実は女性客をカットしたスタッフは美容免許を持ってないんです。どうしたもんでしょうか?』

O社長:「えー!参ったな~、、、でも、しょうがないじゃないですか、とりあえずは、その事は弁護士さんには伏せといて行きましょう、、」

 P:「分かりました、じゃ、すぐ弁護士さんに手を打ちます」

(約3週間後)

P:『社長、弁護士さんから「相手も告訴を受理する、、という事なんで、裁判所に提出する書類がありますんで、書類をそちらに送りますんで、それに記入して送り返して下さい」と送ってきた書類の中にスタッフの美容免許取得年月日記入欄と承認申請書があるんですが、どうしたもんでしょうか?』

O社長:『ああ、やはり、そうきましたか。しょうがないですね、じゃ先生弁護士さんに「すいません、スタッフが無免許だった事を私も知らなくて書類記入の時に始めて知ったんですが、、」とか言いながら正直に話しましょうか、先生、心配しないでいいですよ、弁護士さんは、依頼人の利益を最優先に考えてくれる立場ですから、、、嫌だったら違う弁護士さんに頼めばいいんですから、、でも、頭を下げながらやって下さいね』

 (翌日)

P:『社長弁護士さんに無免許の件話しましたら「え~!早く言ってくれよ、これじゃ負けちゃうよ!、、う~ん、分かった、じゃ、しょうがないや、裁判時は証人としては、あなただけでいいや、」ということになりました』

(それから一月後)

P:「昨日裁判が終わったんですが相手が出席しないんです、欠席裁判ということで、一ヶ月以内に相手が異議申し立てがなければ勝訴、、ということだそうです、ところで、無免許のスタッフは辞めてもらったほうがいいでしょうか?」

O社長『裁判としては、これで終わりでしょう、相手はこんなにてこづるとは、、と面倒くさくて止めた、、です。スタッフのことですが、入社面接時に分かっていて、採用したのは先生なんだから、そりゃ、ないんじゃないですか、免許持ってることと、技術、接客のうまい、下手は別問題というのも現実ですね

スタッフには、「こんなクレーム時代だからリスクを抱えて美容師続けるのもいやだろう?、、お前はうまいんだから、通信教育もあるんだし、行かせてあげるから、、」と励まして、合格の折は給料上げてあげるとか、希望を持たせて頑張ってもらったらどうですか?』

(その夜)

P:『社長!ありがとうございました、弁護士料も嘘みたいに安かったです。社長の言われた通り話したら、スタッフが涙ぐみながら「先生、この度は迷惑をかけてすいませんでした、トラぶった時、これで前の店同様クビだと覚悟してました、でもここまで守ってくれて、その上免許のことまで心配してくれて、、俺頑張って必ず恩返しします」って言ってくれました、社長のお陰です』

社長『そりゃ、違いますよ、先生が店を守る為、タカリと戦うのに必死だったからですよ。私も、いろんなオーナーからいろんな相談を受けますが、中でも一番多いのが「社長、いいスタッフいませんかね、、」という相談です、気持ちは分かりますが、いいスタッフがいたとしても、いち早く他の店に採用されているか、、自分で店を出してるか、、採用出来たとしても、いち早く自店の近くに出店されるとか、、、いいスタッフはいる、、もんじゃなくて、創るしかないんじゃないですかね。今回の件はスタッフ教育のつもりなんか、先生には全然なかったでしょうけど、店を守る為に必死に戦っていたら、気がついたらそんな事になっていた、、、つまりスタッフに向かって能書きを言うんじゃなくて、オーナーが外に向かって必死に戦う背中を見てスタッフが何かを感じたんじゃないですか、、それでも何にも感じないスタッフが多い中で、先生はラッキーかもしれませんよ。何故なら先生もスタッフ時代を振り返ってみて如何がです?、、、いや失礼しました!』